王様の耳は驢馬の耳

受け売りを書いているだけです。気になさらないで下さい。

「戦争文化論」を読んで その一

理論的に考えれば、戦争は目的を達成する一つの手段である。野蛮ではあるが、ある集団の利益を図ることを意図して、その集団と対立する人々を殺し、傷つけ、あるいは他の手段で無力化する合理的な活動である。

上の一節から始まる「戦争文化論」は歴史学者軍事学者のマーチン・ファン・クレフェルト教授が発表したものである。上記の思想は「戦争は外交の延長である」というクラウゼヴィッツの主張の範疇にあり、戦争は合理的な利益に奉仕するものであるという今日でも一般的な戦争観といえる。しかしクレフェルトは言う。

 だが、この考えは見当違いもはなはだしい。

f:id:bambaWEST:20170729160406j:plain

続きを読む

「インテリジェンス入門」を読んで その弐

前回はドイツとフランスの情報活動に触れた。今回はイギリスの情報活動に関して少し触れてみたい。情報活動一つとってみても、ずいぶん文化の違いが表れてくるものである。

f:id:bambaWEST:20170912093315j:plain

インテリジェンス入門

インテリジェンス入門

 

 

続きを読む

「インテリジェンス入門」を読んで その壱

ご承知だとは思うが、今回扱うインテリジェンスとは知能や知識のことを指すのではなく、諜報活動のことをいう。筆者はあまり技術的なことには関心が薄いのだが、たまたま手にとる機会があったのでここで紹介したい。

 著者である柏原氏は本の冒頭で「情報機関を最初から考えてみたいという人のための導入として執筆」され、扱う時代は現代でなく「近代的な意味での情報機関もしくは情報活動が確立される一八七〇年代前後から一九一〇年前後」までに焦点を絞っている。ではざっと見ていきたい。

インテリジェンス入門

インテリジェンス入門

 
続きを読む

「戦争学原論」を読んで その参

f:id:bambaWEST:20170728155009p:plain

今回も前回同様「戦争学原論」を扱う。

さっそくだが前回の続きをしたい。

続きを読む

「戦争学原論」を読んで その弐

 

f:id:bambaWEST:20170728155009p:plain

前回と同じく石津朋之氏の「戦争学原論」についてである。

すでに前回で戦争とは合理的な政治的事象ではなく、文化的事象であることに触れた。この考えは筆者の従来の考えを補強するもので、我が意を強くするものであった。情けない話であるが、筆者は戦争には肯定的側面があるという考えをブログ以外で他人に話したことは、極々親しい者以外に一度としてない。

保守派の活動を通しての知人は少なくないが、その誰もが戦争に対しては極力避けるべきものとして認識しているからである。なにも積極的に戦争せよと話したいのではない。戦争を避けるにせよ、始めるにせよ、それを多角的に眺める重要性を議論したいのだが、なかなか理解を得ることは難しいだろうと躊躇しているのである。

ともあれ、さっそく本題に入りたいのだが、実は前回でほとんど書きたいことは書き尽くした感があるので、今回は気になった点を列挙するに留めたい。

続きを読む