王様の耳は驢馬の耳

週一の更新で受け売りを書き散らしております。

日本の於ける理性の傳統を読んで その四

前回と前々回は「道理」と「自由」が鎌倉時代からの日本の精神史に影響の大なるを概略的に見てきた。この二つの思想が日本の近代の幕開けの標識語であるとする小堀桂一郎先生の主張であることは前回にも触れた。今回は「天道」について本著をもとに書いてみたい。

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日本の於ける理性の傳統を読んで その参

 前回の記事で「自由」に触れたが、今回は少しこれに言及してみたい。前回からの繰り返しになるが自由は明治以降FreedomやLibertyの訳語であると言われているが、俗説に過ぎない。これはもともと仏教語で大陸から伝わり古くから日本にあり、日本書紀にも見られる言葉である。

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日本に於ける理性の傳統を読んで その壱

  歴史の区分は幾つかに分けられるが、今日において通説となっているものは古代・中世・近世・近代・現代の五分法であろう。中世と言えば政情不安定で、戦乱や疫病が社会全体を覆い停滞が甚だしい時代とされ、暗黒時代とも呼ばれる。この歴史区分には諸説あり、未だ仮説の域を脱していない。しかし日本においては中世はなく、上記の歴史区分では日本の歴史は捉えられないと主張をされているのが小堀桂一郎先生である。

 

日本に於ける理性の傳統 (中公叢書)

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支配という言葉の犠牲者

 他人に何かを配って、その人を支える。物を分け与え支える。仕事を配分し、生活を支える。これらを漢字二文字で表すと「支配」になる。

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  広辞苑によると

し-はい【支配】

  1. 仕事を配分し、指示し、取り締まること。
  2. 物を分け与えること。分配すること。
  3. 統治すること
  4. ある者が自分の意志・命令で他の人の思考・行為に規定・束縛を加えること。そのものの在り方を左右するほどの、強い影響力を持つこと。

 最近では④の意味でしか使われていない。それはなぜか。言の葉は往々にイデオロギー闘争の犠牲者なのである。

 あなたが誰に支配されてるか知りたいなら、批判することが許されない相手が誰かを思い起こせばよい。ヴォルテール