王様の耳は驢馬の耳

週一の更新で受け売りを書き散らしております。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「日本人が知らない最先端の「世界史」」を読んで その二

大衆と知識人はどちらが危険だろうか。通説では大衆は扇情的でプロパガンダに流されやすく、逆に知識人は冷静沈着で容易には流されないという印象がある。が、著者はそれがまったくの誤解で、むしろ「学のある」エリートほど「風」に弱く、プロパガンダに流…

「日本人が知らない最先端の「世界史」」を読んで その一

日本の近現代史をめぐる議論が、あまりにも日本中心であること。 というのが著者の福井義高氏の執筆動機である。著者は明治以降、日露戦争を乗り越えはしたものの欧米のような大国にはほど遠い「二流の地域大国に過ぎな」なかった。しかし戦後の主流の歴史観…

「成熟と喪失 ”母”の崩壊」を読んで その二

エリク・H・エリクソンは著書『青年ルター』においてより高次の「父」なる神に直接的に結合することで、反対するローマ教皇やルターの父親への服従を無意味化しようと試みたという。プロテスタントはより強い「父」を求めてはいるが、聖母は認めていない。ル…

「成熟と喪失 ”母”の崩壊」を読んで その一

本書の作者である江藤淳は「第三の新人」と呼ばれる作家たちの作品を通して、現代の「母」の不在を論じている。それは明治の文明開化から始まり戦後の現在でも進行している。

「倫理学」を読んで その十八

今回で和辻哲郎の「倫理学」をとりあえず最後にする。ブログ筆者はここまでに三ヶ月弱の時間を読書とブログの更新に費やしたが、個人的に重要だと思うところ以外は触れていない。きっと見落としもあろうし、誤読誤解もあろう。もし読者が間違いに気づいてく…