王様の耳は驢馬の耳

週一の更新で受け売りを書き散らしております。

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「大衆の反逆」を読んで その壱

言わずと知れたホセ・オルテガ・イ・ガセット著、「大衆の反逆(桑名一博[訳])」。 以前から読もうと考えて、長い間後回しにしていたがようやく読み終えた。何回かに分けてこれを取り挙げたい。 大衆の反逆 (ちくま学芸文庫) 作者: オルテガ・イガセット,Orte…

「戦後思潮の超克」を読んで

国学四大人(しうし)と言えば荷田春満、賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤の四人である。平田が入って契沖が入らないのはなぜかという議論はさておき、国学者と呼ばれる者は皆古典に深い造詣を持っている。古典を繙くことで古義を明らかにせしめ、日本民族の精神…

「私の国語教室」を読んで その参

前回に引き続いて福田恆存評論集からであるが、今回は「世俗化に抗す」を取り挙げたい。 文章の冒頭に金田一春彦の「日本語は乱れていない」から福田は一節を抜き出す。 要するに私の言いたい事は、乱れている、というのは、決して現代日本語の特質ではない…

「私の国語教室」を読んで その弐

前回、国語の乱れは筆記の乱れであり、知識層の無関心の結果が国語に対する無知を招き、それが国語の乱れに帰着したとまで書いた。今回も引き続き福田恆存著『私の国語教室』を見ていきたい。