王様の耳は驢馬の耳

週一の更新で受け売りを書き散らしております。

現代日本と町人根性 その壱

三回に渡って山本七平氏の『日本資本主義の精神』を取上げ、鈴木正三と梅田梅岩の二人を通して江戸時代の資本主義の精神を見てきた。今回はこれに痛烈なる批判を加えた和辻哲郎氏の『続日本精神史研究』を紹介したい。

 

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神話の嘘と本当

筆者は「安全神話」という言葉自体に多分に違和感を感じる。この四字熟語をネット検索にかけてみれば、以下である。

 確実な証拠や裏付けがないにも関わらず、絶対に安全だと信じられている事柄。或いは、絶対安全だという信頼感。言外に根拠のない思い込み、錯覚にすぎないという含みがある。

 この熟語の意味の前提には神話が無根拠で裏付けのない、思い込みや錯覚に過ぎないという意味が包含されている。つまり神話は論理的に破綻したもので、否定すべきものとして扱われている。ここに妥当性はあるのかと言えば、筆者はないと応じる。

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日本資本主義の精神を読んで その参

前回は梅田梅岩の思想の基礎となった、鈴木正三を見てきた。今回は江戸時代の中流サラリーマン、石田梅岩に焦点をあて、山本七平氏の著書を通してその精神構造の基本を本著を通して見ていきたい。

bambawest.hatenablog.com

 

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日本資本主義の精神を読んで その弐

「日本資本主義の精神」の著者、山本七平氏は言う。江戸時代は日本の歴史の中で、最も興味深い時代であり、およそ二百五十年の治世のうちに「自前の秩序」を確立した。

本著のなかで最も強調されるのは石田梅岩であるが、彼の思想の基礎には鈴木正三がある。彼は禅僧であり、曹洞宗に属する。もとは則定城主、鈴木重次の長男で二百石の旗本であったが出家し、「破切支丹」を著すなど優れた思想家となる。さっそく正三の思想を見てみよう。

bambawest.hatenablog.com

 

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日本資本主義の精神を読んで その壱

「日本資本主義の精神」は昭和54年に刊行された。著者の山本七平は日本の資本主義の精神的原型を江戸時代のサラリーマンにあるとしている。故に江戸時代を知ることが現代を知ることになると述べる。本著では江戸時代サラリーマンの精神構造の形成に影響力を振るった者として、鈴木正三と石田梅岩を取り上げている。今回は日本の会社の構造に関して引用を交えつつ紹介したい。

【新装版】山本七平の日本資本主義の精神

【新装版】山本七平の日本資本主義の精神

 

 

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